法律相談#88

婚姻で夫の姓になりましたが、事情があって離婚することになりました。離婚後も夫の姓を使用することはできるのでしょうか? 夫からは自分と同じ姓を使用しないでほしいと言われて困っています。

 婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、離婚によって法律上婚姻前の旧姓に戻ります。これを「復氏」といいます。
ただし、旧姓に戻ることによって社会生活に支障が生じることが多くあります。とくに婚姻期間が長くなっていると、離婚によって旧姓に戻っても困ることが多いようです。
このため、婚姻期間中の氏を離婚後にも継続して使用できる法律上の制度があります。これを「婚氏続称」と言います。
この婚氏続称をしたいときには、離婚の成立日から3か月以内に「結婚の際に称していた氏を称する届」を、本人から本籍地または住所地の市区町村役所に提出します。この手続きは、離婚届に合わせて一緒に行うこともできます。
なお、婚氏続称を選択するにあたって、配偶者の同意は必要ありません。本来、氏は「家族」の呼称でもありますが、現代法の下では「個人」の呼称を示すものと考えられています。また、この婚氏続称の制度は、婚姻期間中の「個人としての」社会生活を離婚後にもそのまま継続したいという人の手助けになることを企図しているからです。

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