妊活相談室#18

結婚してから5年が経ちますが、妊娠しません。治療をしたいのですが体外受精でないと妊娠しないのでしょうか?

  近頃、テレビなどのマスコミでは体外受精や顕微授精の話題が多く報道されています。この治療方法は最終方法と考えてください。妊娠成立には100カ所のポイントがあり、そのうち一つが障害されていても妊娠は成立しません。その障害が分かることはごく一部です。ですから原因不明の方が大部分であり、その治療方法としては、①自然排卵でタイミングを合わせる方法、②排卵誘発剤を使用してタイミングを合わせる方法、③排卵誘発剤を使用して人工授精を行う、④体外受精・顕微授精となります。また、妊娠される方のそれぞれの割合は、一般的な統計結果で①~④まで各1/4(25%)ずつとなっています。当院での治療成績でも同じ結果となっております。このように体外受精・顕微授精などの特殊な方法で妊娠される方は、妊娠総数の1/4程度になります。体外受精・顕微授W精だけで妊娠率が高いという結果ではありません。人工授精においてかなり精子が少ない方でも人工授精で妊娠は望めます。当院の統計では、精子が少ない症例の方が正常精子数の症例の方より妊娠率が高いという結果が出ています。これは精子が少なくて卵管まで到達しないために妊娠しなかったので、これを解消する方法である人工授精をすれば妊娠するわけであります。ただ、人工授精の場合でも排卵誘発を行わないと妊娠は望めませんので必ず排卵誘発を行う必要はあります。
当院でもなるべく健康保険適応範囲内の治療である人工授精(一部自費扱い)で妊娠ができるように治療を心がけておりますが、女性の年齢がやはりポイントになってきます。妊娠が可能である残された時間、人工授精で妊娠できなかった場合のこと等を考慮して人工授精を何回までチャレンジするのかをご夫婦、専門医と相談して治療計画を立てることをお薦めいたします。
体外受精・顕微授精は健康保険適応外であり治療費も安いものではありません。当院では上記の①~④へステップ(段階)を踏んだ治療(ステップアップ法)をお薦めいたしております。現在、ご夫婦対象での不妊治療教室などは開催しておりませんが、不妊相談室を平日の診療後に個別で行っておりますので、ぜひ今回の質問者さんのような相談、不妊治療のことをわかりやすく教えてほしいなど活用していただければと思います。

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