妊活相談室#9

卵子の検査について詳しく教えてください。また、検査を受けるのに年齢、妊活の期間とかは関係あるのでしょうか。

 ホルモンや卵胞数を調べて卵巣機能を評価する検査はありますが、体外受精をするときに卵子を直接取り出す以外に卵子そのものを正確に調べる検査はありません。卵子の検
査の目的は妊娠のためですから、妊娠の面から卵子を評価する方法について述べてみましょう。
女性の年齢が一番の評価法です。というのは、卵子は胎児のときには出来上がって、その後、歳を重ねるごとに消滅していきます。出生後あらたに産生されることのない卵子は、
女性と一緒に年齢を経ていきます(ここが精子と大きく違うところです)。ではなぜ年齢の上昇が影響するのか?
年齢が上昇すると卵子の染色体の異常率が上がるからです。通常は一つの生命の第一歩である受精卵を誕生させるため、男性から1本の染色体と女性から1本の染色体を各々出し合って次の子に遺伝子として伝えます。この時に卵子が染色体を分離して正しく出せないと異常が起こってしまいます。この状態ですと、受精しても妊娠しない場合が多く、妊娠したとしても流産に至ってしまいます。ちなみに流産で一番多い染色体番号が16番です。34歳以下の染色体異常の率は10%で、これが受精卵になると40%~50%くらいの染色体異常になると言われています。精子の場合は、染色体異常があると精子が造れない場合が多いです。年齢以外の卵子の情報を得るには、抗ミュラー管ホルモン(AMH)というホルモンしかありません。これは卵巣年齢を計測するホルモンとして知られています。実際は個人差が大きくて正常値がないのですが、AMHは現在あなたの体の中に卵子がどれくらい残っているのか大
まかな目安になります。
1・77ng/mlを下回ると卵巣の低反応と考えられていますが、低いからといって特別な方法でなければ妊娠しないかというとそうではありません。0・1 ng/mlの方でもタイミング法で妊娠されています。
AMH検査は、今後治療を始めていくのであれば体の状態を把握するうえで必要と考えられる検査ですが、残念ながら現在のところ健康保険の適応がありません。(費用は当院ですと5000円程度になります)検査は、採血するだけでどなたでも可能ですし、妊活の期間に関係はありませんので、治療開始時に計測されてみてはどうでしょうか。

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