法律相談 #152

【Q】
私も90歳になり相続のことを考えています。長男は東京に居住していますが、定職に就いていません。たまに帰ってきますが、私に金をせびったり、「オレがこうなったのはおまえのせいだ」などと私に暴言を吐きます。この前は口論になり、私に向かって刃物を振りかざしてきました。長男には私の遺産を渡したくはないです。どうしたらいいでしょうか。

【A】
あなたが遺言書を作成して、長男以外の人に遺産を渡すことができるようにすればいいのです。ただし、長男が相続人である以上、長男には遺留分という権利があります。仮に長男が遺留分を主張すれば、あなたの遺産の一部は長男が取得できることになってしまい、あなたの気持ちを十分に満足させるものではありません。
こういう場合、相続人の廃除という制度があります。相続人が被相続人に対し生前に虐待、重大な侮辱、または著しい非行をした事実を家庭裁判所が認めた場合に相続人の地位が失われる(遺留分もなし)のです。
この手続は、被相続人が生前に家庭裁判所に請求して行うこともできますし、あるいは遺言で廃除の意思を表示することもできます。後者の場合には、遺言執行者が遅滞なく廃除の請求をすることになっています。
過去の判決例には、父親の多額の財産をギャンブルにつぎ込んで減少させた長男につき、「著しい非行」として廃除を肯定した事例があります。設問の場合でも、長男があなたの財産を費消した金額が大きかったり、暴言の内容や頻度もあなたの尊厳を害するものであれば、廃除が認められるかもしれません。

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