法律相談 #148
収入がなくなり、生活保護を受給しようと思っています。車を保有していると生活保護が利用できないと聞きました。本当でしょうか。
国は、生活保護利用者が車を保有・利用することについて、車が「ぜいたく品」であるという理由で、原則的に認めていません。例外が認められるのは、車の処分価値が少なくて、障害者やへき地で暮らす人が通勤・通院などに使用する場合のみで、例外は極めて限定的です。
しかし、大都市以外の地域での生活の実情を考えれば、車は生活必需品ですし、処分価値のほとんどない車は「ぜいたく品」ではないでしょう。
最近の事例ですが、三重県鈴鹿市に居住する女性が、生活保護の申請をしました。女性は、身体障害者手帳1級で、手のしびれや両ひざに関節痛があり、杖や歩行器を使用しても歩くのが困難で、通院や買い物に車を使用していました。所有する車の処分価値もありませんでした。この申請に対して、鈴鹿市は申請を認めませんでした。
女性がその処分の取り消しを求めて訴訟提起をしたところ、津地方裁判所は、「車の処分を強いることに合理性は認められず、保有を認めて生活全般に活用させ、自立を助長することこそが生活保護法等の趣旨に添う」として、鈴鹿市の判断を違法としました。
最近では、このように車の保有を認めたり、その利用の範囲を広げる判決が相次いでいます。申請する市町村に対して、最近の判決例なども紹介して車を利用する必要性を訴えてみてください。あきらめる必要はありません。