法律相談#86
離婚の時に「年金分割」という制度を利用すると、将来の年金受取額が増えるという話を聞きました。「年金分割」とはどういう制度ですか?
「年金分割」というのは、婚姻期間中の厚生年金保険の「納付記録」の一部を夫婦の一方から他方に付け替えることをいいます。わかりやすくいうと、婚姻期間中に夫婦の一方が納付した厚生年金の保険料の一部を相手方が納めたことにするのです。その結果として将来もらえる年金が増えることになります。 厚生年金の保険料は給与などの一部から支払いをすることになっていますが、夫婦の一方が働いているのは相手方の家庭での支えがあるからこそできるわけです。将来的に夫婦で一緒に生活をするのであれば、年金を一人が取得していても家計が一つなので問題ないのですが、離婚するとなると家計が別になるわけですから、一方が年金を多くもらうというのは不公平になります。そこで、「年金分割」という制度ができたのです。離婚の際の財産分与と同じ考えに基づいています。 年金分割の割合は夫婦当事者の協議で決めることができます。協議がまとまらない場合は家裁に申立てをすれば調停あるいは審判でその割合を決めてくれます。家裁の実務では多くの場合5:5で決まっているようです。 ただし、年金分割の請求は、離婚してから2年以内にする必要がありますのでご注意ください。
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