法律相談#78

居酒屋チェーン店の「店長」になると、残業代は支払ってもらえないのですか?

労働基準法は、労働者が時間外労働をした際に使用者が残業代の支給をするべき旨を定めていますが、「監督もしくは管理の地位にある者」(いわゆる「管理監督者」)に対しては、その規定が適用されない旨を定めています。
しかし、この「管理監督者」かどうかは、肩書ではなく実質で判断されます。具体的には下記の基準で判断します。
①経営者と一体となって重要な職務と責任を担う仕事をしているかどうか。例えば、店長でも、パート・アルバイトの採用・解雇に関する権限がない場合には管理監督者とはいえません。
②通常の就業時間に拘束されず、出退勤の自由があるかどうか。遅刻・早退をした場合に減給の対象になったりマイナスの査定を受ける場合には管理監督者とはいえません。
③賃金などでその地位にふさわしい待遇を受けているかどうか。例えば、残業代が支給されない代わりに「管理職手当」ないし「役職手当」などが支給されているかどうかなどが一つの目安になります。
法律上「管理監督者」と認定されるには、これらすべての要件が満たされている必要があります。管理監督者については数多くの裁判事例がありますが、管理監督者であると認められた例はわずかです。裁判では、上記の要件が厳格に判断されているといえます。

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