法律相談#76
父親の遺品を整理していたら、遺言書がでてきました。内容は、父親の遺産はすべて長男である私に取得させる、というものでした。私は、これをもって銀行に行けば父親名義の預金を払い戻すことができますか。
銀行で遺言書を見せる前に「検認(けんにん)」という手続きをとる必要があります。遺言書の内容は、相続財産の帰属を確定することがあり、相続人などの利害関係者に大きな影響を与えます。そのため、遺言書の存在やその内容の改変を防ぎ保存を確実にする必要があり、またその存在を利害関係人に確知させる必要があります。そこで、裁判所が利害関係者の面前で遺言書の存在と内容とを確認しそれを記録して遺すという手続きをするのです。
遺言書の保管を依頼された者またはそれを発見したものは、相続の開始後に遅滞なくこれを家庭裁判所に提出します。家庭裁判所は検認の期日を定め、相続人らに期日を知らせます。検認では出席した申立人、相続人らの面前で遺言書が示され、その方式に関する事実を調査確認してそれを調書に記載します。
ただし、公正証書による遺言については、公証人によって公の記録が残されているから、検認手続きは必要がありません。
なお、この検認の手続きは、遺言の存在とその外形の検証保護のために行われます。検認を受けたからと言って遺言の内容が有効として確定するわけではありません。遺言の内容で争いがある場合には、別途裁判によってその有効性が判断されることになります。今月の無料相談 次回は3月4日(月)10:00~