もくもくつくる人@多賀茶焙煎所 #2 陶芸家 廣川 智子さん( 56)
陶芸家
廣川 智子さん( 56)
長岡市出身
長岡市在住
梁や床が黒光りする古民家を改装したアトリエにはNHK‐FMが流れ、大きな掃き出し窓の外には青々とした田んぼが広がる。
陶芸を始めたのは今から30年近く前。大学を出て美術の教員になった。絵を描くことやもの作りは好きだったが、教えるのはまた別。向いていないと気づいた。教え子の母親で陶芸をする人がいた。陶芸なら職業として成り立つかもしれないと一念発起。茨城県の製陶所に就職するも、仕事は販売員。ろくろは夜し
か練習できなかった。隣町の益子で陶芸家 肥沼美智雄に出会い、弟子入り。3年間修業した後、99年長岡に戻り自分の工房を開く。
古民家のアトリエは酪農業を営む実家のすぐ近く。同じくすぐ近くに地元陶芸愛好家たちが所有する穴窯があった。仲間に入れてもらい、年に2回交替で火の番をしてはみんなで薪をくべ窯焼きをした。しかし、メンバーの高齢化が進み、この春窯終いをすることに。似たような灰釉の効果は自分の窯でも出せるが、仲間が解散することは少し寂しい。
土や釉薬は今も益子のものを使う。ぽってりとした飴釉やぬくもりのある灰粉引。手に取るとふっと軽く、自然光の食卓に映えそうな印象。「こんな料理を盛りつけたい」とイメージして買ってもらうのが作家冥利につきると言う。
最近は趣味で作り始めた動物や少女の胸像の人気が高まっている。造形のヒントは子どものころから身近だった牛や、現在一緒に暮らす愛犬ぎんぺーくん、かわいい姪っ子だ。身近な造形の美しさを敏感に感じ取り表現している人だ。
廣川智子 うつわ展 7/26(水)~10/22(日)
多賀茶焙煎所ギャラリースペースにて開催。
上越市仲町3-1-9 10:00~17:30 火曜定休(8/15
営業、8/16休業) TEL.025-526-7570
★「もくもくつくる人@多賀茶焙煎所」は、3か月に一度掲載。多賀茶焙煎所ギャラリーコーナーで展示販売する作家さんをご紹介します。