妊活相談室#14

基礎体温について知りたいです。子供をなかなか授からないので、基礎体温をつけた方が良いのでしょうか?

   基礎体温とは、起床前の肉体的運動や精神的な興奮のない状態の体温をいいます。朝目が覚めたときに婦人体温計(小数点第二位まであるもの)を用いて口腔内舌下(ベロの下)で測定します。自宅で行えて、簡単で痛くなく優れた検査法です。基礎体温は、36.7℃未満を低温相、以上を高温相といい低温相から高温相に移行するのを観察します。では基礎体温からなにがわかるのでしょうか?
それは四つありますが、すべては確実なものではありません。
①まず排卵日の特定ですが、一般的に基礎体温が落ちた日が排卵という考えがありますが、この信頼性は2割程度です。基礎体温からは正確に排卵日を特定することはできません。②次に排卵の確認ですが、高温になったから排卵しているとは限りません。排卵とは卵子が卵胞という袋から出ることを言います。卵胞が破れなく黄体化未破裂卵胞症候群という状態でも高温になります。日常診療でみられる最も多い排卵障害と思われます。排卵の確認は超音波(エコー)でみるのが正確です。③黄体から分泌される黄体ホルモンの上昇が高温相を形成します。ただ高温相が正常でも、黄体ホルモンが低い黄体機能不全は存在します。④妊娠の診断にも基礎体温は役に立ちます。自然周期では、16日以上高温が続けば9割方妊娠で、21日以上続けば100%妊娠です。高温が続いても妊娠が順調かどうかの判断はできません。このような基礎体温は厳密な検査ではありませんが、ご自分の排卵状況を大まかに知るには便利な方法です。体温計も水銀からデジタルに変わり、使いやすく便利になりました。ただデジタルは低温期で激しく変動し、安定しないことが多く見受けられます。
以上、基礎体温は簡便な検査方法です。まずは行っていただきたい自己検査ですが、私の経験上、治療して妊娠が成立しても体温計の値がずっと低いままの方が今までに10人程度はおられました。基礎体温をつけていておかしいなと思ったら生殖医療専門医に相談することをお勧めいたします。

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