もくもくつくる人@多賀茶焙煎所 #5  藤ガラス工房 後藤洋平さん (41)

藤ガラス工房
後藤洋平さん (41)
上越市中郷区出身・千葉県野田市在住
温かいガラス。温かい雪のようなガラス。雪国での原体験から生まれるものなのか。それらはパートドヴェールという手法で作られる。原型から鋳型を作り、ガラスの練り粉を詰めて焼成し、表面を研磨する。とても手間がかかり大量生産はできないので古代ローマ時代に吹きガラスの手法が生まれたあとは廃れてしまった。しかし、吹きガラスではできない繊細な色や形を表現できるため、アールヌーヴォーとともに復興し、工芸や美術の分野でひとつのジャンルを築いている。
野球少年だった後藤さんだが、高校卒業後はものづくりの道を志した。ガラスを選んだのは、日本に工芸としての歴史がなく、それならば自分にも新しいことができるのではないかと感じたため。川崎と富山の専門学校で学び、ステンドグラスを制作する会社に入社。その後独立し、富山の専門学校で同級生だった妻と二人で「藤ガラス工房」を立ち上げる。ステンドグラスをやりながら器も作り始めた。コロナ禍で習い始めた弓道が作品作りの転機に。「射法八節」といって、矢を射るまでには8つの動作がある。同じ動作をひたすら繰り返すことで技が洗練されていく。これは工芸にも通じると感じた。それまでは漠然と自由を追い求めていたが、型を繰り返す中から真の自由が生まれるのではないか。
3年前に北京のギャラリーで妻と二人展を開催。現在取引先の半分以上は海外だという。シンプルな「型」から生まれる「用の美」。使わないときは美術作品として窓辺に飾って楽しみたい。

 
後藤洋平 ガラス器展 7/24(水)~10/21(月))
多賀茶焙煎所ギャラリースペースにて開催。
上越市仲町3-1-9 10:00~17:30
火曜定休
TEL.025-526-7570

★「もくもくつくる人@多賀茶焙煎所」は、3か月に一度掲載。多賀茶焙煎所ギャラリーコーナーで展示販売する作家さんをご紹介します。