法律相談 #146
親がつけた名前を変えたいです。どうしたらいいでしょうか?
名前は、個人を特定あるいは識別するためのものです。自分のことは自分で決めるという自己決定権的な考えによれば、自分の名前は自分で名付けることができるはずです。
ところが、出生届けは子が生まれてから14日以内にしなければなりません。生まれたばかりの当人が自分の名前を決めることは事実上できません。そのため、実際は親が名づけることになります。
法律は、「正当な事由」があれば、家庭裁判所の許可により、名を変更することができると定めています。
「正当な事由」とは、最高裁の示した例によれば、①営業上の目的から改名する必要があること、②同姓同名の者がいて、社会生活上甚だしい支障があること、③神官・僧侶となるため改名の必要があること、④珍奇な名、外国人とまぎらわしい名、あるいは難解、難読な文字を用いた名等で社会生活上甚だしく支障があること、⑤帰化した者で日本風の名に改める必要のあること、などです。永年使用してきた通称についても、それが社会的に定着したものと評価できれば、「正当な事由」と認められます。
私の事務所にも、名前を変えたいと相談にくる方はいますが、実際には親がつけてくれた名前だからとか、日常生活で定着してしまったから変更すると面倒だと考えて、変更することには躊躇するようです。