もくもくつくる人@多賀茶焙煎所 #6  陶芸「土筆(つくし)窯」金子廣水( ひろすい)さん( 78)

陶芸「土筆(つくし)窯」
金子廣水( ひろすい)さん( 78)
上越市出身・在住

大きな木々が広い木陰を作り、その下には大小様々の手製の植木鉢におさまった山野草や多肉植物が所せましと並んでいる。鳥の声と豊かな緑に包まれた「土筆窯」。高田のまちなかにいることを忘れてしまう。ここで早朝から昼までほぼ毎日作陶し、できた作品は今や数万点にのぼる。
陶芸を始めたのは今から25年ほど前。料理人として働いていたが、何かに打ち込みたくて陶芸の道へ。本を読みながらほぼ独学で勉強し、全国の焼き物産地をめぐり土を持ち帰っては研究した。1000日作陶という修行僧のような経験をこれまでに2回達成。やればやるほど深みにはまり、いまだに納得することがないという。窯に入れたらあとは窯まかせ。それでも1000回焼いてひとつくらい、これはというものが出来上がる。だからやめられない。
得意とするのは御本手や三島手。また、オリジナルの釉薬で焼かれた作品もある。貴石のトルマリンを研磨する際に出る粉末だ。石を扱う業者に使ってみないかといわれ、3年試作した結果生まれたのが鮮やかなトルマリンブルー。その粉末は原産国ブラジルからはもう入ってこなくなり、現在手元にあるものだけになってしまった。土や釉薬は様々なものを試しているので焼き肌、作風は多種多様だ。
土は年に一度、自ら山で採取もする。手間のかかる工程を経て使えるまでに半年以上もかかるという。
かつては展覧会用に大物も作ったが、いまは生活器として手ごろなものが多い。土筆窯では体験教室も開催中。詳しくは電話で問合せを(025-526-7235)。


金子廣水 生活の器展 10/23(水)~1/20(月)
多賀茶焙煎所ギャラリースペースにて開催。
上越市仲町3-1-9 10:00~17:30
火曜定休
TEL.025-526-7570

★「もくもくつくる人@多賀茶焙煎所」は、3か月に一度掲載。多賀茶焙煎所ギャラリーコーナーで展示販売する作家さんをご紹介します。