妊活相談室 #111
精子の数が少ないので、人工授精より顕微授精の方が良いと言われました。精子が少ないと人工授精では妊娠しないのでしょうか。
人工授精では、精子の多い症例でも少ない症例でも妊娠率では差はありません。人工授精について説明いたします。人工授精には精液はそのまま使用せず(菌が多いため)、培養液で精液を洗浄し、精子のみを回収します。その精子をカテーテルで子宮内腔に注入します。注入された運動している精子の数を総運動精子数とし以前はその数が妊娠の目安とされていました。妊娠のボーダーラインは総運動精子数が、1,000万以上、500万、100万、70万と報告する論文が次々と発表されました。しかし、最近では精子の数は影響しないとされる報告が多数あり、当院の発表データでも精子の数と妊娠率に差はありませんでした。100万未満の極端に少ない精子でも十分な妊娠率を認めています。
一方、当院のデータによる妊娠例の排卵数は、非妊娠例の平均排卵数より多く有意な差がありました。人工授精を実施するタイミングとしては、排卵後に行ったほうが排卵前よりも妊娠率が高くなるという結果でした。これらの結果より人工授精による妊娠の決め手は、精子数より排卵数と人工授精施行のタイミングと考えられます(詳細は、HP cocola妊活プラスで)。
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