法律相談#32

 長男が勤務先の会社に多額の損害を与えたため、会社が身元保証人である私にその損害金の支払いを求めてきました。私は、その支払に応じなければいけないのでしょうか。

  「身元保証」とは、社員の行為によって会社が受けた損害を身元保証人が賠償する契約のことをいいます。
身元保証は、期間や保証限度額が定められていない場合が多いため、多額の損害金を請求されて初めてその責任の大きさに気が付く場合がほとんどです。そこで、法は、身元保証人が予想外の不利益を被ることのないように、保証内容について制限規定を定めています。
まず、保証期間は5年間を超えることはできません。期間の定めがない場合には3年に制限されます。
また、保証内容について争われた場合、裁判所は、①社員の監督に関する会社の過失の有無、②身元保証人が保証をするに至った理由、保証をするにあたっての注意の程度、③社員の任務や身上の変化、などの事情を考慮して、身元保証人の負うべき負担額を決するとされています。
なお、会社には、社員に業務不適任など身元保証人に責任が生ずるおそれが生じたり、社員の仕事内容や就労場所の変更などで身元保証人が社員を監督することが困難になる事情が生じた場合、それを身元保証人に通知する義務があります。会社がこの義務を怠れば、身元保証人の責任を減ずる事由になるはずです。
以上からすれば、会社の要求にただちに応ずる必要はなく、弁護士などの専門家とまずは対応を協議するべきではないかと思います。