法律相談 #151
【Q】
集落の夏の行事に盆踊り大会があるのですが、準備や後片づけが大変なので、不参加を申し出ました。すると、「村八分にする」と脅されて、集落内にあるゴミ収集箱の使用、集落内の公民館の利用、次年度以後の新年会の参加も禁止されました。これって違法なのではないでしょうか。
【A】
村八分とは、集落で特定の者が村の慣習や決め事を破った場合、その違反者に対して、その集落に居住する住民が結束して、その違反者との交際を断つこと(共同絶交)です。転じて、現代では、地域社会から特定の住民を排斥したり、集団の中で特定のメンバーを排斥したりする行為を指して用いられています。ちなみに、葬式の世話や火事の消火活動は、排斥されない「二分」の活動だそうです。いずれも、放置すると集落全体が被害を負ってしまうからだとか。
村八分は、集団で特定の人間を無視するものであり、その者の人格権を侵害するものとして違法です。人間は社会的な存在で、他者と繋がることなしに生活をするのは困難です。他者との繋がりを意識することで自己肯定感も生まれます。だから、その繋がりが絶たれることは、自分の存在自体が社会的に抹殺されることを意味します。つまり、村八分は社会的な死亡宣告であり、その人の心を傷つけるため許されないのです。
村八分というと昔話のように聞こえますが、県内の集落でも、設問と似たようなことが起こり、裁判にまで発展した事件がありました。集落内で冷静な対話をするしかありませんが、村八分が継続する場合には裁判所を含めた公的機関に人権侵害を訴える他ありません。