もくもくつくる人@多賀茶焙煎所 #1 木漆工芸作家 飯塚 直人さん( 47)

木漆工芸作家
飯塚 直人さん( 47)
上越市出身
上越市板倉区在住

 

自分で伐採した木から器などを成形し、漆を塗って仕上げる。
そのせいか、飯塚さんの作品は漆の下の木の素性や温もりが伝わってくる。つるつるではなくて少しざらっとして温かく、いつまでも触っていたい。
会社勤めに疑問を感じながらも、やりたいことがあったわけでもなかったある日、『陶芸家になろう』という本に出会い、「陶芸家になろう」と決意。陶芸家を訪ね歩くうちに漆もやる木工作家に出会い、漆に強烈な興味を覚える。
二人の漆作家のもとで合計4年ほど修行。ようやく独り立ちしたのが30歳の頃。しかし、何を作ったらいいのかわからない自分がいた。妻がハローワークで林業の求人を見つけ、漆と関係ない仕事じゃないからやってみたら?と。これがとてもいい経験になった。山に立つ木の姿を見ることが創作の刺激になったのか、作りたいものが見えてきた。
もともと工芸に興味があったわけではないので、会社を辞めたあとに妻と工芸に触れる日本一周の旅に出た。柳宗悦の著書『手仕事の日本』と米と鍋を車に積んで、美術館や作家を訪ね歩いた。その旅も今の仕事のベースになっている。
現在は板倉区の集落に住み、半農半工芸、ときどき伐採という暮らしを送る。今後は漆も自分で採取したいと、畑に苗を植えた。上手に育てても大きくなるまでに
10〜15年、それでやっと牛乳瓶1本程度の漆が取れて、その木はおしまい。恐ろしく経済効率が悪い。そういうものこそ大事にしたいと、飯塚さんは思っているのだろう。

★ご紹介ください★
今回から始まった「もくもくつくる人@多賀茶焙煎所」は、3か月に一度掲載。多賀茶焙煎所ギャラリーコーナーで展示販売する作家さんをご紹介します。