法律相談 #136

私の弟が昨年死去しました。弟は数年前から妻と仲が悪くなり別居して1人で生活し、最後はアパートで死んでいることを大家が発見しました。そのため、弟の遺骨を引き取りたいのですが、弟の妻は渡してくれません。遺骨の所有権は誰にあるのでしょうか。

遺骨は相続財産に含まれません。遺骨は、判例上、お墓や仏壇、仏具などの「祭祀財産」であり、祭祀を主宰する者に帰属するとされています。
 被相続人が遺した遺産は、被相続人と生計を同じくする者や被相続人の近親者が引き継ぐことが一般的には妥当です。しかし、祭祀は過去の慣習により維持されてきたものですから、祭祀財産は相続財産からはずすべきと考えられているのです。
 そして、民法は、祭祀主宰者につき次の順番で承継されるとしています。
①被相続人の遺言等によって指定された者
②被相続人の地域の慣習によって決められた者
③家庭裁判所の調停または審判によって決められた者
 以上を前提に考えると、遺言がなく慣習も明らかでなければ、家裁での調停あるいは審判で決することとなるでしょう。
 遺骨の争いは決して珍しくはありません。身近で大切だった人に死なれたりすると、その人をいつまでも大事にしたい、忘れずにいたいと思うあまりに遺骨がほしいと思っても不思議ではないのです。

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