法律相談 #110

私の上司が何度も私にパワハラをしてきたので、録音機を隠したままにして彼の発言を録音しました。裁判になった場合、証拠として利用できますか。

会話の録音データが裁判で証拠として提出される場合はよくあります。録音を相手の了解がないままにするというのは、決して好ましいことではありません。しかし、民事裁判では証拠に制限はありません。また、設問のように発言自体の違法性を裁判で争う場合には自己防衛のために無断の録音もやむをえないものと考えられます。
 ただし、その録音データに証拠としての信用力があるかどうかは別問題です。
 録音データは容易に切り取りすることができます。だから、裁判で立証する側が全体の会話のうちの都合のいい部分を切り取ることも可能です。
 また、利用する相手の発言部分が対話から生じてきた場合、録音する側が自己に都合のいい発言を引き出そうとして誘導的な質問を相手にすることなどが考えられます。
 なので、録音データがあるからといってすぐに信用されるというものではないのです。信用力を高めようとするなら、発言や会話の全体を証拠として提出し、自然なやりとりから生まれた発言であることを強調する必要があるでしょう。

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