法律相談#19

父の相続人は長男と次男である私の二人だけだったのですが、「全遺産を長男に渡す」とした遺言書が見つかりました。次男である私はまったく父の遺産を取得できないのでしょうか。

   法律は、遺言などにもよって奪われることのできない権利があることを相続人に認めています。この権利を遺留分(いりゅうぶん)といいます。
遺産は、死んだ人の所有だったからその人の自由にしていいと割り切って考えられるものばかりではありません。たとえば、親の遺産に頼って子が生活している場合もありますし、親の遺産形成に子が関わったりする場合もあります。死んだ人の自由にしてしまうと、実質的におかしな結論になる場合があるのです。そこで、このような遺留分制度が認められているのです。
遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められています。配偶者または直系卑属が相続人に加わっている場合は本来の法定相続分の2分の1、そうでない場合は3分の1となります。本件の次男の場合には1/2×1/2で、遺産の4分の1に遺留分の権利が認められることになります。
ただし、遺留分は、その権利を行使するということを意思表示して初めてそれが権利として認められます。しかも、自分の相続権が遺言などで失われることを知ってから1年以内に、遺産を取得した者に対して意思表示をすることが必要です。この期間を経過すると、遺留分が存在しなかったことになってしまいますので注意してください。