法律相談#80

私は、事情があって叔母(90歳)の保佐人※をしています。最近、叔母の足腰が弱くなり自宅での生活が無理だと思って叔母に介護施設への入所を勧めました。ところが、叔母は「死ぬまで自宅で暮らしたい」「自分のことくらい自分で決める」と言って私の言うことを聞いてくれません。どうしたらいいでしょうか。

私にも似たような経験があります。家裁から保佐人に選任されたため、90歳の女性に会いに行ったところ、女性から「私はまだまだ元気です、他人に世話される必要はありません」と諌められてしまいました(※「保佐」とは成年後見制度の仕組みの一つで、判断能力が不十分な人の援助をすることをいう)。  私たちは、「保佐」とか「後見」が必要との判断がなされると、その人の判断能力が不十分と「一律に」考えてしまいがちです。しかし、現実はそう単純ではありません。判断能力の程度は人それぞれに異なります。認知症の症状が重い人もいれば、難しいことは理解できなくても生活上の判断に支障がない人もいます。その人の現実に応じた対応が必要です。叔母さんのように、生活環境についてしっかりした意見を持っているのにそれを頭ごなしに否定しようとすると、その人の人間性を否定することにも繋がります。  成年後見制度は、本人の生活を「援助」する制度です。叔母さんとじっくり対話を重ねて叔母さんの生活が少しでもよくなる方策を見つけるという態度が必要です。

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