法律相談#83

妻と別居して3年になります。離婚したいのですが、妻は離婚に応じてくれません。裁判をした場合、離婚は認められるのでしょうか。

 離婚でよくある質問は、「別居は何年したら離婚が認められるのですか」というものです。しかし、明確な基準はありません。わずか1年の別居で離婚が認められた事件もあれば、3年半経過しても離婚請求が棄却された事件もあります。たしかに、別居が長期化すれば、婚姻関係が破綻しているとの推定が働くことは間違いありません。しかし、別居の長期化は離婚を認めるための一つの事情にすぎません。裁判では、①別居になった原因、②離婚請求をする側の有責性、③相手方の離婚意思の有無などを総合的に考慮して破綻しているかどうかを慎重に検討しています。
例えば、妻が日常的に夫を侮辱して夫がそれに耐えきれず家を出てしまったなどの事情がある場合には、一般に婚姻の修復は困難であり、しかも離婚を求める夫に責任はなく、離婚が認められるのではないかと思います。
なお、相手に積極的な離婚意思がないというのは、婚姻の修復可能性を肯定する方向に働きます。ただし、そういう場合でも、その意思の内容が相手に対する意地や反感、復讐心、あるいは経済的安定を維持したいだけにすぎない場合には相手方に真摯な婚姻継続意思があるとはいえません。
このように、裁判では当事者間のさまざまな事情が勘案されます。そのため、離婚の相談をする際は夫婦間で生じた詳しい事情を弁護士に伝えることが必要です。

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