法律相談#89

私には結婚の予定がありますが、夫婦の姓をどちらかの姓にするかで悩んでいます。姓を変えたくはないのですが、今のままではいけないのでしょうか。

 民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定めています。最近の最高裁判決は、「夫婦同姓」の制度は憲法に違反しないと判断しました。したがって、法律に従い、結婚するに際しては夫婦になるどちらかが改姓をしなければなりません。
「姓」は「名」と同様に個人を特定する役割があります。私たちは社会生活で自分の姓名を使用します。例えば、「A名義の建物」「A作成の論文」というように姓名がAという個人の内実を明らかにしてくれるのです。
したがって、結婚により姓を変更するとなると、社会生活での繋がりが断ち切られてしまうという思いや、他の姓との使用を余儀なくされたことで自分が自分でなくなってしまうような喪失感が生まれます。
最高裁判決は、「姓」が家族の呼称として意義をもっていることを強調しますが、社会の進展に伴い家族のスタイルは多様化しています。一人暮らし世帯も増加し、同じ家の中で姓の違う者が家族として生活していることも珍しくありません。姓が同一であることに固執するのは時代遅れです。
今は無理かもしれませんが、一人ひとりが声を上げることによって夫婦は別姓でもよいとする時代が来るのではないかと思っています。

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