法律相談#95

現在、夫と別居して生活をしています。生活費の支払を求めたところ、借金があるから支払できないと拒否されました。生活費の請求はできないのでしょうか。借金が住宅ローンの場合はどうですか?

夫婦が社会生活を維持するのに必要な費用を婚姻費用といい、夫婦が互いに分担するものとされています。それは、別居していても同様です。そのため、夫婦のうち収入の少ない方は、多い方(「義務者」という)に対して婚姻費用の支払を求めることができます。
借金の支払があるからといって、義務者が婚姻費用の支払を拒むことはできません。婚姻費用は生活の維持に必要ですから、通常の借金よりも婚姻費用の支払を優先させるべきだからです。
ただし、借金をした事情が、生活が苦しく生活費の補填のためだったような場合には、それを一切考慮しないというのも不公平になる場合があります。そういう場合は、その借金を夫婦の収入の割合に応じて婚姻費用から一定額を差し引くという取り扱いがなされています。
借金が住宅ローンの場合、義務者が従前の住宅に別居後も住み続けているのであれば、その支払は不動産を取得するという資産形成の側面を持つことになります。また、婚姻費用の算定にあたっては義務者の住居費があらかじめ考慮されています。したがって、住宅ローンの支払を理由に婚姻費用の減額がなされることはありません。

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