法律相談#96

裁判でかかった弁護士費用を相手方に請求することはできるのでしょうか。

  裁判において敗訴した者が勝訴した者の弁護士費用の支払をしなければならないという制度を「弁護士費用の敗訴者負担」と呼んでいます。ただし、この制度は、日本ではとられていません。弁護士費用は裁判での結果如何に関わらず、双方とも自分の弁護士費用だけを負担するということになっています。敗訴者負担を肯定する理由に、「裁判沙汰」になったのは敗訴した側の責任であるという考えがあります。しかし、紛争は、当事者にそれなりの言い分があるために発生しますし、裁判は(たとえ自分の主張が真実だと思っていても)必ず勝てる保証はありません。証拠が不十分であったりして、敗訴してしまうことがありうるのです。
しかも、日本では、裁判をするには相当の覚悟が必要ですし、自分の弁護士費用を用立てることすら大変です。仮に負けて相手方の弁護士費用も負担するなんてことを考えたら、裁判を起こすことをためらってしまうことになりかねません。こういう事情から敗訴者負担の制度は日本では導入されていないのです。
他方、ドイツ、フランスなどでは、給付型の法律扶助制度や権利保護保険も普及して、経済的負担がなく手軽に裁判ができて裁判の数も日本と比較するとすごく多いのです。こういう国では裁判の数を抑制する効果を見込んで敗訴者負担制度が導入されているようです。

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