漢方でととのえるvol.8「そのカゼ、葛根湯(かっこんとう)で大丈夫?」

 漢方の風邪薬といえば「葛根湯」と思っていらっしゃる方が多いように思います。しかしすべての風邪に葛根湯が効くとは限りません。漢方での風邪の治療は、「身体の土台を立て治す」ことであり、ここが「症状をなくす」西洋医学と違う点です。漢方ではその人の体力の有無、その風邪がひき始めなのか長引いているのか、また悪寒はあるか汗が出るかなどで薬を選びます。
葛根湯が合う症状は、熱感があり汗がまったく出ないときです。葛根湯は汗や尿を出して熱を発散させますので体力のない方が飲み続けるとかえって風邪が長引いてしまうかもしれません。疲労からくる風邪には「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」。

体が冷えて水様の鼻水、痰が出るときは「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」。乾いた咳が続くときは喉を潤す「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」などがおすすめです。また、風邪に対してのバリア機能を強化するのに大事な五臓は「脾(消化器系)」。現代で摂り過ぎな、脂・甘い物・濃い味・冷たい物などが「脾」の力を弱めます。風邪のときは胃腸をいたわる養生も大切です。