かえってきたここらんしょ in 糸魚川②　渡辺光実さん

2021年12月23日2021年12月22日 cocola 編集部

つなぐキッチンレ・ジョン代表
渡辺光実さん（ 30）
糸魚川市（旧能生町）出身
東京からのUターン歴7年

生家は能生谷にあり、山菜採り、魚釣り、少し離れた海へも自転車で釣りにと、自然の恵みの中で育った。東京の専門学校のあと帝国ホテルに就職。フランス料理の神髄を学ぶ。雑誌でフランス料理
の巨匠ミシェル・ブラスの店を見た。農地の真ん中に店がある。その風景に強く惹かれた。糸魚川でも同じことができると思った。いつかは帰ろうと決めていたが、すぐに帰ると言うと父にもホテルにも
反対された。それでも気持ちは変わらなかった。2014年に帰郷し、市内のイタリアンレストランに勤めた。イタリア料理も会得するが、大火のあとこれでいいのかなと思い始め、「まちづくりらぼ」でつながった同世代から刺激を受けた。やっぱり自分はフランス料理だと思い5年半勤めた店をやめた。そのころキターレができると聞き、シェアキッチンで店の試運転をすることに。2019年に結婚した妻は実家が農家。自身の父も兼業農家。自分も野菜作りを手伝い、野菜を作るところから料理をしたいという思いもかなった。ここにはいい素材がたくさんあるのに地産地消だけじゃもったいない。外から来た人にこそ食べてほしいとも思う。今年、日本最大級の料理コンペティションにエントリー。一次審査を通過しブロンズエッグを受賞した。挑戦することで、遠くからも人を呼び込める。「レ・ジョン」はフランス語で「人々」。生産者と消費者を、あるいは地元と都会の人々をつなぐ料理人でありたい。そんな思いが込められている。農地の中の一軒家レストラン、今から楽しみだ。

妻の実家「清耕園ファーム」で獲れた野菜や、豊富な地魚、「新之助」を炊いて練り込んだ自家製パンなど、素材の味がいかされた料理が楽しめる。