品質の良いビールをつくることは当たり前。 その先にどうつないでいくか

Gangi Brewing
代表取締役
宮本 正裕さん (36)
京都府宇治市出身

醸造責任者
綿貫 卓人さん (34)
上越市出身

 

今や上越地域の玄関口となった上越妙高駅にほど近い元カーディーラーだった場所に新たにビール醸造所がオープンする。

――ビールをつくろうと思ったきっかけを教えてください

綿貫「もともとビールってちょっと苦手だなっていう意識があって。でも、たまたま飲んだホワイトビールは苦味が少なくてその飲みやすさに感動。それがクラフトビールにハマるきっかけでした。その後、友達と集まるときやコミュニケーショのツールとして喜怒哀楽どんなシーンにも寄り添えるビールっておもしろいなって考えるようになり、転職を考えたとき“自分なりのビールをつくってみたい”と思ったんです」

――実際にビールをつくろうと決めてからどうしたんですか?

綿貫「自分が飲みたいビールをつくりたいと思った当時はまだクラフトビールってそこまでメジャーじゃなかった。なかなか教えてくれるところがなくて、しかもコロナ禍に突入。それでも運良く静岡の醸造所で研修生として受け入れてもらえたんです。浜松へ単身移住して約2年勉強させてもらいました。最初の頃は外出規制もあったし、やることと言ったら樽に入っていたビールを瓶に詰めてラベル貼り。これを延々やってましたね(笑)。いざつくり方を教わるようになって分かったのはビールづくりってすごく数学的で化学要素が大きい。どちらかというと文系だったので香りにしろ色にしろ苦味にしろ全部に計算が必要なんだって驚いたし、最初は大変でした」

――修行と並行してこの醸造所の構想を練っていったんでしょうか

綿貫「修行終盤になったころ、本格的に事業構想を練り始めた。けどお金がかかりそうだなと漠然と思うだけだった。そこにかねてより友人だった宮本が意気投合して仲間になってくれた」
宮本「僕は京都出身で、スノボ好きがきっかけでこの地を好きになって移住してきた。そこで知り合った綿貫がビールをつくるっていう。話を聞けば聞くほどおもしろそうだし、やる価値があると思って会社をやめてクラフトビール醸造所の開業に向き合った。コロナ禍で家飲みの需要が増えてお酒に関する意識が変わっていく時期だったので、今後も市場の拡大が見込めるなと」

――いよいよ醸造所がオープンしますね

綿貫「当初の予定より大規模な設備になり、クラファンでたくさんの人に助けてもらったり、仲間たちに応援してもらったので、これからはとにかくおいしいビールをつくり、ビールのおもしろさを伝えたい。昔の自分のようにビールを敬遠している人でも安心して楽しめるビールをつくりたいです」

宮本「地ビールとは違って、クラフトビールにはお土産的要素だけじゃない、文化的要素が強いと思うんです。造り手のキャラクターが出るから商品への付加価値やストーリーへの意味を考えることができる。そうやってファンになってくれた人が応援してくれる。“雁木”という名前に込めた人と人、人と町をつなぎながら、地産地消だけじゃなく、全国へ発信していける醸造所にしていきたいですね」

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よそから上越地方(上越市・妙高市・糸魚川市)に 移り住んだ方をおしえてください。紙面でご紹介させていただきます。