妊活相談室#5

結婚4年目ですが、妊娠の兆候がまったく見られません。不妊治療でよく耳にする体外受精と人工授精について詳しく教えてください。

   人工授精と体外受精について混同なさっている方はいらっしゃいます。人工授精、体外受精についてお話しする前にその必要性と妊娠率について説明いたしましょう。
治療の順番は基本検査で異常がなければ、排卵の時期を正確に見てタイミングを合わせるようにします。成果が出ない場合は、排卵誘発剤を使用しタイミングを合わせます。このように手段を変えていく方法をステップアップ治療と言います。これで妊娠しない場合は、子宮内に直接精子を注入する人工授精、又は体外受精・顕微授精(この二つは生殖補助医療と言います)とステップアップになります。統計上は妊娠した方の50%まではタイミング法、50%は人工授精、生殖補助医療となっています。当院の2011年の治療成績では妊娠総数205例(2012年読売新聞発表では県内2番目の実績数でした)であり、全体のうち自然周期の排卵+タイミングで25%、排卵誘発+タイミングで25%、人工授精で25 %、生殖補助医療で25%となっています。治療を受けられる方の中には体外受精でなければ妊娠しないと考えられている人もいらっしゃいます。もちろん自然周期で妊娠が難しかった方が対象ですので、排卵誘発剤を使用することは考えられます。
タイミングで妊娠成立がない場合、通常は人工授精に移行するのですが、タイミング法と同じく排卵日に直接精子だけを精液から抽出して子宮内に注入します。タイミング法で膣内に射精された精子が卵管まで行くのは 個程度とされています。人工授精では運動している精子を平均3000万~4000万注入できますから妊娠率は大変高いです。妊娠の決め手は卵子の質ですから、十分な量を用いた注射剤の排卵誘発は必要となります。ここまででも多数の方が妊娠を見込めます。基本的には排卵した卵子が卵管に取り込まれることが前提になりますので、卵管が閉鎖している方は体外受精が適応となります。
体外受精・顕微授精は、どちらとも卵子を身体から採りだして精子と受精させます。採卵後の受精方法で体外受精(卵子と精子を合わせる)と顕微授精(卵子の中に精子を送り込む)がありますが、人工授精と違うところは卵子を確認でき、受精が起きるかどうか判断できる点です。ただ、人工授精の場合に使用する排卵誘発剤は保険適応になりますが、生殖補助医療の場合は全て自費扱いとなってしまい、費用から見ると高額になってきます。年齢的に余裕があるのであれば、保険適応がある人工授精での排卵誘発を注射剤で行うことにより十分効果を得られることがありますので、治療の第一選択とするほうが良いと思います。
生殖補助医療には、この先に様々な方法があり日々進歩している状況です。今回はおおまかな説明でしたが、今後機会があれば詳細を本稿で取上げさせていただきたいと思います。

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