妊活相談室#3

不妊治療にかかる費用が不安です。また、どのような補助制度がありますか?

  不妊治療には費用がかかると、よく聞かれることと思います。体外受精など一部の治療を除いて皆保険(健康保険)が適用されますが、妊娠が成立するまで3割負担での費用がかかることになります。
さて、治療初期でのお話をしますと、統計上では自然周期の治療より排卵誘発剤を使用した治療の方が妊娠率は上昇します。この排卵誘発剤には、内服薬と注射剤の2種類がありますが、内服薬はその作用の特徴として自然周期を強めにする薬で、商品名がクロミッドという薬が代表的です。この薬の歴史は長く私が医師になった昭和57年以前からあります。薬価が1錠あたり109円で1周期5~10錠内服します。健康保険の適用で薬の自己負担が170円~330円位になります。(その他に診察料や検査料などの自己負担分が掛かります。)ただ、クロミッドは自然周期で妊娠しづらい方が治療対象ですから、クロミッド主体の排卵誘発だけでは妊娠率は低く(妊娠しづらい方が飲み続けると避妊薬になるというある有名な大学教授の言葉もあるくらいの薬です。)、内服薬1~2周期で妊娠成立ができない場合は、注射薬による排卵誘発が必要になります。この注射薬は連日の投与となります。当院で用いている注射薬は、一般的の量(75単位~150単位)で自己負担が1回の注射で500円~600円くらいです。米国の文献では、採卵数が15個で一番妊娠率が良いとの報告があり、採卵数が多いほど妊娠率が高くなりますので排卵誘発剤は必要だと思います。
今回は、一般的な不妊治療について記述しましたが、この他に体外受精、顕微授精などに進んだ場合は高額な費用もかかってきます。現在、各自治体では、不妊治療検査及び診療費の保険診療費の一部負担金、保険適用外医療費の自己負担分、薬局で処方された薬の自己負担分、等に対し助成制度を設けています。体外受精などの特定不妊治療に対しても助成適用範囲となっています。詳しくは各自治体のホームページをご覧ください。(当院のホームページにリンクが貼ってあります。)

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